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2009/03/28

本を読み漁るのがいい

IMG_0376.JPGレバレッジ・リーディングをしているのか?とこの前知人に尋ねられた。僕は最近のペースだと月に10冊程度の本…それもほとんどがビジネス本と言われる類いを読んでいると話したことが理由。

レバレッジ〜は、そうした効率的な多読を勧める内容の本なので、知人は僕がそれを基に実行していると思ったそうだ。

同書は、名前や概略だけは知っていたが、読んでいなかったので今日書店で早速買い込んできて読んだ。その概要を簡単に言ってしまえば…

  • 本を読む意味
  • ビジネス書を多読すべきだ
  • 多読の際には本にメモ、線などの書き込みなど活用
  • 読後は“自分に重要な内容”をメモにしてまとめる&携帯する

特にこの「レバレッジ・リーディング」でいう最後の読後メモをキチンと作り、ただ“読んだ”だけに終わらないアプローチが僕には欠けている点だろう。また本は書き込みしまくって汚していいんだ…という点も“わかってはいたけど、やはり今まで付箋を使っていたので、やり方を考え直してもよいかな…と思った次第(移動時の読書など付箋などはなかなか貼れない事も)。

そうした上記の事を、今の読書量に加えて行えば、何かいい事があるのかな? 個人的には“退屈が怖い”という理由だけで多読してきたのだけど、それでも多く読むとイロイロなバリエーションの見方、その中にある意味共通する部分とかが見え、1冊の本を熟読するより面白い。そんなアプローチも間違ってなかったのかも…と思えるとなんだか嬉しい。

2009/03/10

Strength Finder - 自分の強みは何?

自分の“強み”とは何かを探るテストStrength FinderGallupより提供されており、それを試してみる事にした。尚、このテストを行うには「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」などの書籍を購入して、カバー裏に印刷されたIDを入力する必要があり、1つのIDで1回のみ受けられる仕組み。面白いネットと本のハイブリッドな商品だと思う。

同書の内容を簡単に言ってしまえば、各個人はそれぞれ「強み」と「弱み」が才能としてあること。そして、“弱み”を無くす方向よりも“強み”を活かす方向にした方が、個人としても組織としても効果的…ということ。調査から“強み”のタイプを34種類(下記参照)挙げている。WebでStrength Finderにアクセスし、40分程度のテスト時間(受講は日本語でも可)を受ける事で、34のうち自分に当てはまる上位5件の資質が示される。

「アレンジ」「運命志向」「回復志向」「学習欲」「活発性」「共感性」「競争性」「規律性」「原点思考」「公平性」「個別化」「コミュニケーション」「最上志向」「自我」「自己確信」「社交性」「収集心」「指令性」「慎重さ」「信念」「親密性」「成長促進」「責任感」「戦略性」「達成欲」「着想」「調和性」「適応性」「内省」「分析思考」「包含」「ポジティブ」「未来志向」「目標志向」

ちなみに、僕のテスト結果は収集心、最上志向、学習欲、未来志向、内省という形となった。全く持って意外性の無い結果。特に収集心は妻に時々「このCD棚と本棚の内容に何百万費やしたのか…」とあきれられるだけに図星だ。
以下に僕が該当した“強み”の説明を一部引用する。

収集心
あなたは知りたがり屋です。あなたは物を収集します。あなたが収集するのは情報――言葉、事実、書籍、引用文――かもしれません。あるいは形のあるもの、例えば切手、野球カード、ぬいぐるみ、包装紙などかもしれません。集めるものが何であれ、あなたはそれに興味を引かれるから集めるのです。

最上志向
優秀であること、平均ではなく。これがあなたの基準です。平均以下の何かを平均より少し上に引き上げるには大変な努力を要し、あなたはそこに全く意味を見出しません。平均以上の何かを最高のものに高めるのも、同じように多大な努力を必要としますが、はるかに胸躍ります。

学習欲
あなたは学ぶことが大好きです。あなたが最も関心を持つテーマは、あなたの他の資質や経験によって決まりますが、それが何であれ、あなたはいつも学ぶ「プロセス」に心を惹かれます。

未来志向
「もし・・・だったら、どんなに素晴らしいだろうなぁ」と、あなたは水平線の向こうを目を細めて見つめることを愛するタイプの人です。未来はあなたを魅了します。まるで壁に投影された映像のように、あなたには未来に待ち受けているかもしれないものが細かいところまで見えます。

内省
あなたは考えることが好きです。あなたは頭脳活動を好みます。あなたは脳を刺激し、縦横無尽に頭を働かせることが好きです。あなたが頭を働かせている方向は、例えば問題を解こうとしているのかもしれないし、アイデアを考え出そうとしているのかもしれないし、あるいは他の人の感情を理解しようとしているのかもしれません。

百戦危うからず…な感じに持っていくためには、自分を知るということが大きなポイント。著者曰く脳内回路はもう決まっているから、「別の強みの方が良いのに!」と泣き言をいっても手遅れ。ならば上記の強み、なるべく活かせるようせいぜい努力してみるとしようかな。

2009/03/09

オーディオブックポータル - FeBe

昨日iTunesに登録されているオーディオブックで読みたいと思うタイトルが少ないと書いた。少しだけ調べると、FeBeというサイトがオーディオブック、特にビジネス関連や実用書などのタイトルが充実しているようだった。

同サイトで販売しているオーディオブックはMP3フォーマットであることにこだわっているようで、iPhoneやiPod等でも問題なく再生できるところが良いと思う(MP3にはウォーターマーキングは施されているとのこと)。

尚、オーディオブックは再生時間が数時間になりがちで、再生した箇所を覚えておいて欲しい。iTunes Store配信では、そうした点に配慮されたm4bフォーマットなので問題ないが、FeBeのようなMP3の場合は便利に使うには下記のA, Bいずれかのようにして、若干の手間をかける必要があるようだ。

■A. 簡単な方法:

一番簡単なやりかたはMP3をiTunesに読み込んだ後、情報を見る→“オプション”タブ内の“再生位置を記憶する”にチェックを入れること。これで、そのMP3を呼び出したときに最後に停止した位置から再生が始まる。

■B. 本格的な方法:

MP3ファイルをm4bに変換すること…iTunesを使うのが一番簡単。MP3ファイルをiTunesに取込んでから 詳細→AACバージョンを作成 を実行。その後に変換し作成されたAACファイルの拡張子をFinderなどでm4aからm4bに書き換えてから、iTunesに再登録するとiTunesやiPhone、iPodからオーディオブックとして認識される。

m4bにしておくと、iPodやiPhoneなどで再生位置を記憶する機能が最初から働くほか、再生速度変更機能も利用できるのが良い点。

ちなみにオーディオブックの速度をiPhoneで変更するには、設定→iPod で遅い/普通/早いの3段階を選択する。実はこの機能の存在を今回初めて知った。音楽を聴いているだけならまずアクセスしない機能だったろう。

以上のように、便利に使おうと思うと若干手間がかかるFeBeのMP3オーディオブックなのだけど、妙なDRM入りプロテクトのフォーマットにしなかった点は関心。汎用フォーマットならば、何かしら対処の手段はあるし。FeBeは今のところ僕にとって手に入れてみたい…と思うタイトルがある数少ないところ。もし昨日手に入れたオーディオブックの使い心地が上々なら、他のタイトルに手を出すのを考えてみても良いかも…と思った次第。

2009/03/08

オーディオブックと勝間和代「読書進化論」

オーディオブック版 勝間和代 著「読書進化論」がiTunesで出ている…ということで、入手してみる事にした。実はいままでiTunesで入手した経験があるオーディオブックは語学教材だったり、講演をオーディオブックの形にしたものだったりで、本の内容をそのまま…というのは恥ずかしながら今回が初めて。
また、同書は朗読も著者自身が行っているので、その人の声でその人の著作をオーディオブックで聴くのはどういう感じなんだろう?という興味もあった。

今回のエントリは若干長めになってしまった。以下の3つのパートに分けて話を進めてみたい。

  • A. オーディオブックというフォーマットについて
  • B. 「読書進化論」に関して
  • C. このエントリの一応の結論

■A. オーディオブックというフォーマットについて

まず今回初めての「書籍をオーディオブックで聴く」という体験自体については、以下の印象を持った。

  • (1) ながら聴きができるのが良い
  • (2) 思ったより時間がかかる
  • (3) 真剣に内容を把握したいなら本の方が良い

(1) ながら聴きができる点…例えば靴の手入れをしているときなどに、そうしたオーディオブックを流しながら…ということができるので、時間の有効利用ができる。試していないけど通勤時の混雑する電車で本もオチオチ読めない状態の時にはiPodを聴いて「読書」ができるので、便利かもとも思った。

(2) 本を読むのは比較的早い方なので、朗読で「読破」するには時間がかかる。オーディオブックの場合は朗読なため、どうしてもその再生時間分は時間が必要になってしまう点は気になる。

(3) 最後に、真剣な場合はやはり本の方が良い…ということの再確認。もう一度確認したいとき、もしくはちょっと付箋をつけたいとき、場合によっては引用したいので、書き写したいとき…などに、いかにモノとしての本が扱いやすい形態か?ということを改めて感じた。

オーディオブックに対する印象:その上でオーディオブック形態のメリットというのは、やはり最初の「ながら聴き」で時間節約ということが第1になると感じた。「読書進化論」内で勝間和代さんは、煎じ詰めれば学術書以外は著者のヨタ話と述べられていたが、ある意味今回のオーディオブックは著者の声であるため、良い意味でそういうモノを感じられた。当人の肉声で述べられると、朗読の上手い/下手ではなく、生きた感じがするとは思う。ただ文字に比べて朗読の優劣で結構印象が変わってしまうかもしれないという懸念もある。

オーディオブックについては、今回の事で以前よりも関心が増したとは思っている。ただ、残念な事に米国と比べて日本のiTunesで配信されているオーディオブックはかなり数が少ない上に、多数が外国語教材だったりして、「読みたい/聴きたい」と思うタイトルがなかなか無い点が一番の問題かもしれない。

■B. 読書進化論の内容について

正直に告白すれば、まだ全部オーディオブックを聴き終えて(読み終えて)いないので、本当ならこのエントリを書くのはまだ早いのだろう。その上で、以下のことをこれから書いてみる。

  • (1) 勝間和代さんの健全な“あさましさ”の再確認
  • (2) ネットによる本の読み方の変化
  • (3) 読書の技術

(1) 勝間和代さんの健全な“あさましさ”の再確認
勝間和代という著者に最初に興味を持ったのは404 Blog Not Found:あなたはなぜ勝間和代に勝てないのかを読んでから。その中で「健全なあさましさ」が彼女にはあるという。本書「読書進化論」でも、どのようにして今まで彼女は「売れる」書籍を作ったか…という作る側の気持ちというか心意気が描かれている。ある意味、出版の裏側の営業努力だったり、彼女が“はてブ トルネード”と呼ぶ現象についても言及。

出版する以上、多くの部数を売ることも大きな目的と言い切る姿は、商売人として清々しい。対局姿勢として内容が良ければ、いずれは評価される…シンデレラのように王子様が見初めてくれる…という姿勢があるかもしれない。そんなナイーブさを吹き飛ばし、ネットの力も借りながら 自分の商売を進める「陽」の気は、善し悪しは別にして圧倒されるばかり。

(2) ネットによる本の読み方の変化
情報入手方法としてネットが台頭してきた今、なぜ本なのか?という点。勝間さんの意見としては玉石混交のWebより書籍の方が高品質の情報であるケースが多いと言い、その根拠は収益性のあるビジネス・モデルが確立されている点や低品質な内容の淘汰、そして編集/デザインなど複数のメンバーが関わることなどが挙げられていた。

一方、営業手法のはてブ トルネードのこと、書籍情報収集の書評情報など、ネットのメリットもある。つまり、高品質な情報入手手段としての書籍と、それを補間するツールとしてネットという。尚、同書用Webサイトが用意され、関連映像なども提供されている。単純な書籍優位論では無い両者の長所を探ろうというハイブリッド・アプローチを試みている。

(3) 読書の技術
また、読書のための技術に関しても述べられていた。初級/中級/上級…自分の読書レベルに合致する読書法、フォトリーディングなどの読むテクニックから、読んだ後に書評を書く、記憶の際の「タグ付け」…など、いわゆる分析・統合・評価の段階まで完結させ、単純に読んだままにしないというアプローチの紹介を紹介。知識・情報を書籍から引き出そうとする貪欲さが良い。

■このエントリの一応の結論

本書で「本が一番知識・情報を得るのには良い手段」と述べられているのをオーディオブックという書籍では無い形で読んだ(聴いた)のは、偶然ながら面白い経験だった。改めて情報を得るための手段には何か良いのか?書籍以外のアプローチ/可能性/ビジネス性についても自分の勝手な考えを広げることができた気がする。

WebやBlog、Amazon Kindleなどの電子ブック、今回のiTunesによるオーディオブック…など、未完成なメディアは数多く登場しはじめているが、まだ本に及ばないと僕も思う。逆に言えば逆説的だけど可能性もある…ということだとも思える。もっとインタラクティブなオーディオブックや必要に応じてテキストも表示してくれる機能を実現?? 場合によりビデオによる図表や動画によるサポート?? …陳腐なアイデアならいくらでも出てくるのだけど。

いずれにしても現段階で一番完成度が高い情報・知識の配信パッケージの姿としての本。これをどれほどパワフルに応用するか?という考えのわかりやす説明を受け、またあれこれメディア論を考える良い機会となった。

関連情報:

2009/01/07

読書: はじめてのGTD ストレスフリーの整理術

年末年始休暇に読もうと購入した本の1つ「ストレスフリーの整理術」。GTD提唱者デビッド・アレンさんにより、ライフハッキングなどで多く話題になっている“GTD”の行い方について丁寧に基本が解説されている本。新しい翻訳・装丁となり、監修は“百式”の田口元さん。

僕のような極めて“なんちゃって”程度にGTDをやり始めました…程度の人物にとって、ちゃんと最初からプロセスを、それも単にやり方だけでなく背景まで教えてくれるこの本は目から鱗なことも少なくない。

特にプロジェクトのまとめ方に関し、まだまだ僕は甘い事も少なく無かったので、是非いろいろと改善していくことに決めている。またプランニングモデルに関する考察などは、仕事段取りに応用できると感じたなど、参考になる点(というか僕が取りこぼしていた点)がいっぱい見つかった。

その筋の“アルファブロガー”な方々にとっては「GTDなんてやってて当然でしょ?」なのかもしれないけど、少なくとも「始めるのに遅すぎるということは無い」と考え、自分の仕事や暮らしにGTDをどう役立てるかを再度最初から見直すのには最適な本と思う。
僕は一通り読んだ後、特に関心のある部分を付箋づけして再度読み直し、リファレンスにして自分のGTDを鍛え直している最中だ。

2009/01/02

読書: マキアヴェッリ語録

正月3が日はゆっくりと読書を楽しむことに決め込んだ。まず最初に読了したのが、塩野七生 著「マキアヴェッリ語録」。権謀術数で目的のためには手段を選ばない「マキャヴェリズム」のあの“マキアヴェッリ”。正月から何黒いモノを読んでいるんだ!と言われるかもしれない。

実際の内容を読むと、黒い内容…というよりは、極めて冷徹な、ある意味科学的な目でニンゲンや社会を分析し、それに対する対処を書いているという内容 。15〜16世紀の話なので、君主はこうあるべきとか、国はこうあるべきといった政治的な話なのだけど、君主を経営者や何らかのリーダー、国を企業や団体、そして戦争を企業間競争などに置き換えると現代でも十分すぎるほど真をついている。

歴史上の人物に学ぶ経営…なんていうのは、よくビジネス書や雑誌にあり、眉唾になる気もするけど、ことマキアヴェッリの“科学的視点”はそうした方向とは異なるものだと思う。例えば次に挙げる例などは、ビジネス分野でもありがちな話なのでは?

人は、心中に巣くう嫉妬心によって、賞めるよりもけなすほうを好むものである。

それゆえに新しいやり方や秩序を主張したり導入したりするのは、それをしようとする者にとって、未知の海や陸の探検と同じ暗いに危険をともなう「事業」になる。

企画関係の仕事では、ともすれば自社もしくは他社も含めた政治的な要素で物事がうまく運ばなかったり、ねじ曲げられたり…といった目によく遭遇してしまう。そうした件に対処するためにも、いろいろと考えなくてはいけない。ちなみに上記のような“嫉妬心”に対する方法としては、以下が挙げられている。

(前略)この嫉妬心をおさえこむには、方策は二つある。

第一は、それを行わなければ直面せざるを得ない困難な事態を人々に納得させることだ。誰しも難局を自覚すると、そこから脱出しようとして、自分一人の想いなど忘れ、脱出させてくれそうな人に進んで従うようになる。

第二の方策は、強圧的にしろ他のいかなる方法にしろ、嫉妬心をもつ人々が擁立しそうな人物を、滅ぼしてしまうことである。(後略)

上記第1の手法は、何か最近の経済危機をうまく利用(!)して自説の説得力を増す材料として使う…という形に応用可能だろうし、また第2の手法についても(規模の大小はあれ)社内改革などしようとする場合に、“守旧派”を結束させないという意味で考えうるオプション…もちろん“滅ぼす”などの物騒なことはしないでも、完全に外すよう手を回してもらうなどの話をあらかじめしておくのが得策ということだろうか。

僕はモノが良ければ、もしくは可能性など、どうしてもアーリーアダプター系というか、そういう視点でものを見がちなので、本書のようなアプローチの内容は非常に参考になる。実践するかどうかはともかく、いつも手元に置いて、内容を確認したくなる…「マキアヴェッリ語録」はそんな本だ。アマゾンでの書評を見たが、古典の内容にも関わらず多くのポジティブなレビューが寄せられていた。そのまま使うというより現代への応用を考えなくてはいけなのだろうが、一種のビジネス・ハック本として是非一読を勧める。

2008/12/16

「Getting Things Done」が再翻訳

mpb&coより。GTD本家「Getting Things Done」が再翻訳され、「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」として刊行されるということ。百式の田口 元さん監修で12月24日に発売とか。

正直GTDとかってライフハック系のブログとかで読みかじった程度の理解度しか無いので、あらためてGTDを理解する(実践するかどうかはわからないけど)のも宜しいんではないかと考える。

今年末発売の書籍にはほかにも、読みたくなるようなタイトルがいくつかあるんで、それらを冬休みにまとめて読むかなぁ…と思っている。なんな一通り読了したら、冬休みも終わっていそうな予感もするんだけども。

2008/12/07

読書:クラウド化する世界

週末は最低一冊「お勉強」読書をするようにしている。今週末は割合と関係のありそうな内容だったのでこちらにもちょっとコメントを書こうと思う。

クラウド化する世界」は、現在すでに身近になりはじめているクラウド…つまりインターネットコンピューティングにより、パラダイムが大きく変わっている様子を俯瞰的に描く。コンピュータ書籍というよりはビジネス分野の人たちに向けて書かれた印象。

本書では電気が発電所から供給されコンセントに差し込むだけで手に入れられるまでの業界を変遷と対比しながら、ハードウェアやアプリケーションなどのIT投資を各企業ごとに行う現状が、今後GoogleやSalesForceなどのサービスに切り替わっていくことを解説していく。もはや各企業ごとに「発電所」を用意する必要はないですよ…ITはあたりまえの(コモディティな)インフラになっていきますよという訳だ。

このあたりの認識は梅田望夫氏が「ウェブ進化論」などでGoogleなどに対して“あちら側”や“情報発電所”と表現していた形とシンクロする感じがする。元々「クラウド化する世界」著者のニコラス・カー氏は前著「ITにお金を使うのは、もうおやめなさい」でも似た主張をしていたが、現在のクラウド・コンピューティング隆盛で説得力が遥かに増した。

また、Googleなどクラウドにより高度なサービスを、企業に限らず個人でも、そして先進国に限らずどの国の人も、(そして極論すればテロリストですら!)同じように使えるようになり始め、よりグローバルな競争をもたらす『フラット化』を押し進めていく効果を否応無しに出していくポジティブ/ネガティブ両面について言及する。「フラット化する世界(上),()」や「ウィキノミクス」などで描かれてきた世界が、よりクラウドにより具体的になってきたということだろう。

本書「クラウド化する世界」は前述の「ウェブ進化論」、「フラット化する世界」、「ウィキノミクス」のIT面でのマッシュアップのような内容と感じた。極論すればそれらを既に読んでいれば、ほぼ「クラウド化する世界」の内容は網羅されていると思う。逆にそうした本をまだ読んでいない人、クラウドに関しての紹介をビジネスな人たちにプレゼン機会がある方はまとめ的に読んでおいていいと思う。この書籍はコンピュータ本というよりは、あくまでもビジネス本で、ビジネスマンがクラウドを理解するためのモノなので。

ちなみに、本書内では「クラウド」という単語はほぼ登場しない。「ワールドワイドコンピューター」という表現になっている。翻訳時にタイトルをそれっぽくするため「クラウド」を入れたのではないかと思う。原題は「The Big Switch」。